龍と虎に愛されて。
「大虎君がみんなに優しいのは分かってるの。あたしだけが特別じゃないってことも」
「え?」
俺がみんなに優しい?そんなわけない。
優華ちゃんだけは、特別なんだ。
「大虎君、見ず知らずのあたしに飲み物やホッカイロをくれたでしょ?あたしね、本当に本当に嬉しかったんだ」
「いや、あれは……――」
「だから、あたしも大虎君に何かお返しできたらなって。でも、缶コーヒーを渡すくらいしか思いつかなくて……。気が利かなくて、ごめんね」
そう言って申し訳なさそうな表情を浮かべる優華ちゃんに、俺は首を横に振った。