龍と虎に愛されて。

でも、俺が怒りを露わにしたところで小学生達が怯むはずがなかった。


「うるせぇよ!こんなところで寝てんじゃねぇ!!」


「おい、逃げるぞ!!!」


確かにこんなガリ勉丸出しの高校生に怒鳴られても、痛くもかゆくもないだろう。


こんなことになるなら、ヅラも伊達メガネも外しておけばよかった。


小学生達は俺に反撃する間を与えず、勢いよくそれぞれのマウンテンバイクに跨り走り出した。


何で小学生の男ってマウンテンバイクに乗りたがるんだ?


ママチャリ乗ってる小学生ってなかなかいねぇよな。


まだ冴えきらない頭で俺はそんなことを考えていた。
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