龍と虎に愛されて。
するとその瞬間、
「お前ら、何してんの?」
背後から低く聞き覚えのある声が聞こえた。
「……テメェ、誰だよ?」
「お前らに名乗る必要はねぇよ」
男達も瞬時にその声の方へ振り返る。
それと同時にあたしの目に小林の姿が飛び込んできた。
ボサボサなカツラを付けて、分厚いメガネをかけたいつもの小林。
あたしが知っている、ダサくて地味でガリ勉の小林。
あたしの一番嫌いなタイプの男。
それなのに、小林の姿を見つけた瞬間、胸の中に熱いものが込み上げてきた。
「お前、その口調なんなの?不良ゴッコでもしてるつもり?」
見た目とは明らかに違和感のある小林の口調に、男達がゲラゲラと笑い始める。