龍と虎に愛されて。
突然頬を殴られた男は、受け身をとれずに、鼻から血を出して苦しそうに地面に座り込んだ。
「てめぇ……!ナメんじゃねぇ!!」
それを見ていた仲間達が剣幕を変えて小林に掴みかかった。
「女にモテないからって、無理矢理ヤろうとする男って最高にカッコわりぃな」
「てめぇ……――!!!」
男達に囲まれても小林は怯むどころか、男達を挑発してどこか楽しそう。
多分、小林はあたしが想像していたよりもずっと場慣れしてる。
こういう喧嘩は日常茶飯事なのかも。
カツラと伊達メガネをとっただけで、ガラリと変わる容姿。
カツラの下にある金色の髪。
伊達メガネで隠された鋭い瞳。
学校にいるときの小林の顔は表の顔で。
裏の顔は、今目の前にいる小林。
5人を相手にしても、焦る様子もなく、それが当たり前のように一人づつ殴り倒していく。
一部始終を目の当たりにしたあたしは、二度と小林に逆らわないと、心の底から誓った。