龍と虎に愛されて。
「ただいまぁ……」
家に帰っても小林の声が頭に張りついて離れてくれない。
相手を威圧するような、低くてドスのきいた声。
あんな声を……あの小林が出せるなんて。
テレビドラマでも見て……練習でもしたのかな……?
「明菜~おかえり!」
「……なに、その笑み」
玄関を入ってスリッパに履き替えたあたしに、ママが気持ち悪いほどの笑みを浮かべながら近付いてきた。
ママがこんな顔であたしを出迎えるってことは何かある。
しかも、たぶんそれはいい話ではない。
そんな嫌な予感はすぐに的中することとなる。