龍と虎に愛されて。
『金子君、大丈夫ですか?』
『あ、あ、当たり前だろ!痛い振りしてやったんだよ!!』
そう言いながらも金子の目には薄らと涙が溜まっていて、俺は心の中でゲラゲラと笑った。
「金子」
どうせ退学になるだろうし、今までやられてた分は仕返ししておこう。
でも、何故か金子は聞こえなかった振りをして、俺と目を合わせようとはしない。
体中で俺の存在を無視しているようだ。
なんだ、こいつ。ナメてんのか。
「おい、金子!」
何で目の前で名前を呼ばれて気付かねぇんだよ。
腹から絞り出した声で金子の名前を呼ぶと、金子はビクッと体を震わせた。