龍と虎に愛されて。
「あの……、えっと、あなたは誰ですか?」
すると、金子はゆっくりとこっちを向き、不思議そうに首をかしげる。
こいつ俺のこと分かってねぇのか。
ありえない。
「お前に散々イジめられた小林だよ」
「……えっ?小林??まさか……そんなはず……」
「これ見ろよ。テメェが書いたんだろうが」
信じられないといった表情の金子の目の前に、俺が小林であるという証拠を掲げる。
以前、金子に白いペンで『バカ』と書かれた学生鞄。
その文字は未だに薄らと残っていた。
あんな屈辱を受けたのは生まれて初めてで。
『龍心がイジめられるなんて、マジウケる!!天と地がひっくり返ってもありえねぇー!!』
運悪くそれをシンジに見られて、散々笑われたのを、いまだに根に持っている。