龍と虎に愛されて。
職員室に着くと、すでに臨時の職員会議は終わっていた。
あたしは職員室に入ると、担任に近付き、声を掛けた。
「先生、小林はあたしを助けるために喧嘩したんです。悪いのは小林じゃなくてあたしなんです!!」
今朝の出来事を事細かに説明しても、担任の険しい表情は変わらない。
「でも小林は、佐和の名前を一回も出さなかったぞ?ただムカついたからって」
「そんなはずない!小林はきっとあたしをかばってくれたんです!だから退学にだけは……」
「佐和の気持ちはよく分かったよ。でもな、俺が退学かどうかを決めるわけじゃないんだ。判断は校長先生に委ねるしかない」
「分かりました……」
確かに担任を説得しても、決めるのは校長だ。
でも校長は近隣地区の臨時会議で、今日は校内にいない。
あたしは成す術をなくして、ガックリと肩を落としながら教室に向かった。