眠る花 ―睡蓮の巫女―









さっきまでは綺麗な青空だった空が、いつの間にか灰色の雲を覗かせていた。



「やだ、雨降りそうじゃん。」


今にも水の雫が落ちてきそうで、あたしは携帯をポケットにしまって再びあるきだした





――つもりだった。






―サァァァ





「きゃっ…なに!?」




歩きだそうとした瞬間、何処から出てきたかわからない砂嵐の大群にあたしは囲まれてしまった。

周りを囲まれて視界はゼロ。



出たくても砂の壁はあたしを阻むようにそれを許さない。




「なにこれッ!」




後ずさりしても、背後も砂の壁で逃げ場がない。



どうしよう……っ。



まるで砂は意志を持っているかのように、ジリジリとあたしに迫って来た。



< 4 / 7 >

この作品をシェア

pagetop