折れない心
――カラカラカラ・・・




「お邪魔しますよ」




「・・・ママ!」

ママが、車椅子に乗って入って来た。




「紗茅の・・・?」




名雪が少しびっくりした顔をした。




ママは以前よりかなり痩せ細っていた。




「ママ寝てないと!」




「大丈夫よ。
 名雪ちゃん、はじめまして」




「あっ、はじめまして・・・」




「名雪ちゃん、
 紗茅のことよろしくね。
 紗茅はよく名雪ちゃんとのこと
 話ししてくれるのよ。
      毎日楽しいって」




「え?」

名雪が目を丸くした。




「紗茅は気が強くてね、だけど照
 れ屋だし、淋しがり屋なのよ。
 名雪ちゃんがいないとたまらな
 く淋しいと思うの。
 私も傍にいてやれないし、名雪
 ちゃんがいてくれないと」




「ママ・・・」




ママは気付いてるんだろうか。


自分の命が長くないことを・・・




名雪が涙をポロリと流した。




「名雪がバカだった。
 名雪にはパパもママも
  お兄ちゃんもいるのに。
 さっちゃんは一人で・・・
        あっでも・・・」




名雪が那抖のほうを見た。



「あっ初めまして!
 俺紗茅の・・・
 ボーイフレンドっす!」




「え?彼氏じゃないの?」



「違うよ。名雪・・・」




「名雪、なんだかこの世で一人き
 りのような気がして・・・」




名雪が淋しそうな顔をした。
< 106 / 299 >

この作品をシェア

pagetop