折れない心
――ガラガラガラ・・・




担任の久藤が、ニコニコしながら教室へ入って来た。




朝からいったい何が楽しいんだか、一度じっくり聞いてみたい。



鏡を見たり、友達同士喋っていたのをやめ、慌てて全員が自分の席に着いた。




「起立!礼!
 おはようございまーす!」



「はい、みなさん、
 おはようございます。
 朝の出欠をとりますよ」


これっていらない。


先生が、生徒の一人一人の顔を見て、体調とか知る為もあるのかもしれないけど、まったく人の顔なんか見てないし・・・




「・・・山崎さん、
 ・・・はい・・・吉岡さん」


「はい」

久藤の顔を真っ直ぐ見ながら返事してみた。



「はい、
 みなさん今朝も元気そうね」




ほらね。見てない・・・



「先生〜♪誰かさんが
 土足で教室に入ってるよ〜!」



「まぁ、誰?」



「吉岡さーん♪」

席のどこからともなく声がした。



クラス全員が一斉にこちらに注目する。



「吉岡さん、うわぐつは?」



「あぁ、ゴミ箱」

頬杖をついたまま答えた。


「ゴミ箱・・・?」



久藤が、つかつかと後ろへ歩いて来た。
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