折れない心
「ゴミ箱ってどういうこと?」

久藤はゴミ箱の中を覗いた。




「どうして捨てたの?」




「さぁ・・・
 捨てた人に聞いてよ・・・」


やっと、高槻の悪事がばれる時が来た。


やっと高槻から解放されるんだ。




「・・・・・・」

久藤は黙って辺りを見回した。




クラス中の生徒が目を伏せ、シーンとなった。




「いらないの?」


いきなり、自分の耳を疑うようなことを言われた。




「は?」




「拾わないのはどうして?」




「どうしてって!」




「いるの?いらないの・・・?」




「・・・いらないっ!」




「そう、じゃあ明日にでも新しい
 うわぐつを買ってらっしゃい」

久藤はそう言い、何事もなかったようににっこりと笑った。




「クククク」

高槻達の笑いが聞こえた。




恥をかかされたあたしは、急に頭に血が上った。




「あんた。バッカじゃないの?」

あたしは久藤にそう吐き捨てた。




「吉岡さん!」




久藤みたいな教師には、何を言おうと無駄だ。




虐めを見て見ぬふりの先生は小学生で既に体験している。




あんたもかぁ。


情けない教師・・・
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