折れない心
「あぁ、もう時間ー!」




少しでも寝ようとしたけど全然眠れなかった。




「ふぁーあ」




こんなことなら早めに寝ておくんだったと、いまさら後悔した。




あたしは泥棒が入ったんじゃないかってぐらい、部屋を洋服だらけにして、取っ替え引っ替え洋服を合わせて、やっと決めた。




「よしっ!これで決まり!」




時間を見ると、待ち合わせの時間に間に合うには、ぎりぎりな時間になっていた。




「ヤバッ!」




あたしは急いで駅まで向かった。




――「おまたせっ!」




「おー!」




那抖は服装も髪型もいつもと違った。




いつもより増してかっこいい・・・




女の人はみんな那抖と擦れ違い様に振り返る。




なんだかまともに目を合わせられない。




「ん?どしたぁ?」




あたしの顔を下から覗き込んだ。




「いや、なんでも・・・」




「ははぁーん、照れてんのか。
 カワイイなぁ、おまえは!」




「照れてないし」




「照れてるー♪」




「照れてない!」




「照れてる!」




その言葉を二人で繰り返しながら、水族館の前までなんとか着いた。
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