折れない心
それから、ママの病院に行き、病室へ入った。



「ママ〜♪メリークリスマス♪
 は〜い、プレゼントだよ〜♪」



「あら、私に?
 何かしらね・・・まあ!」

ママは袋を開けて紫色の帽子を出した。



「手作りで編んだんだよ♪」



ママはすぐに帽子をかぶってみせた。



「どう?似合うかしら。」
鏡を見ながらあたしに言った。


「うん、似合うよ。かわいい♪」



「暖かいわ。
 紗茅、ありがとう♪」



「ママ見て!
 那抖に指輪もらったの。
 おそろだよ♪」


「そう、よかったわねぇ♪
 那抖君は来ないの?」



「うん・・・今日は二人きりで
    過ごせって言われた。」



「ケーキは食べた?」



「心配しないで。
 後で確実に食べるからさっ。」



「あっ紗茅。そこを開けて
   袋を取ってくれる?」



「これ?」



あたしの袋と同じようなピンクの包みが、棚の中へ入っていた。



「紗茅にプレゼントよ。
 誕生日とクリスマスの。」



「いつの間に?」



包みの中には小さな箱が入っていた。


箱をそっと開けてみた。



「かわい〜い!時計だぁ!」



箱の中にはベルトがピンクで、キラキラ光る宝石の入った時計が入っていた。



「ほんとはね。
 二十歳のお誕生日にって
  思ってたんだけどね・・・」


二十歳にと思ってたもの?


ママ・・・



「ありがとう!
 めっちゃうれしい!!」

自分でもいつもより大袈裟に言った気がした。



「着けてみて?」



「うん。」

左の手首に時計をつけてみた。



「どう?」



「似合うわ。
 やっぱり紗茅にはピンクね。
 よかったわ」



「ありがと、ママ」



あたしは、泣きそうなのを必死で我慢していた。
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