折れない心
「手紙は帰ってから
 読んでちょうだい。
 照れちゃうからね」



「うん、わかったぁ」



あたしは、今まで学校であったことを話した。



いいことも、悪いことも全て嘘をつかずに話した。



なんだか、今日話しておかないといけない気がした・・・



「まぁ、びっくりしちゃうわ。
 そんなことがあったなんて」



「うん、笑えるよね」



「紗茅は強いわね。あら、
 まぁ、もうこんな時間だわ。
 那抖君と会うんでしょ?
 遅くなるから
      もう帰りなさい」



ママはなんでもお見通しだ。



「うん。じゃあ、帰るね」



ママに手を振り、病室を出て待合室に向かった。



「那抖。
 待っててくれてありがと。
       寒くなかった?」



「あぁ、大丈夫だ!」



那抖はあたしとママを二人きりにする為に、待合室であたしを待っててくれた。



「見て♪」

左手にしたママにもらった時計を見せた。



「かわいいな♪じゃあ、
 今度は左手に手袋をと・・・」



那抖があたしの左手に手袋をしてくれた。



「スペシャルな左手だ!」



「だねっ♪」



那抖はあたしと繋いだ手を、那抖のダウンジャケットの左ポケットに突っ込み、ぎゅっと握りしめた。
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