折れない心
「ただいまー!ばっちゃーん!」



那抖は玄関に入るなり、ダダダと廊下を走って行った。



「お邪魔しまーす」



「なんだねぇ。騒がしい」



「ばっちゃん!今から
 クリスマスパーティーだ!」



「あら、さっちゃんちでやるんじ
 ゃなかったのかい?」



「うん、見てこれ!」

那抖がこたつの上にケーキの箱を置いた。



「あら、まあ!」



「あたしからおばあちゃんに
 クリスマスプレゼントだよ♪」



「まぁ、まぁ、
 ありがとうね、さっちゃん」

おばあちゃんは、いつものように、顔をくしゃっとして笑った。



「ね、パパさんは?」



「あぁ、
 酒飲んで寝ちまったよー」



「クリスマスだからねぇ」



「なっ!あんなジジイほっといて
     早く食べよっ♪」



那抖はまるでしっぽをふるカワイイ子犬みたいに、こたつの真ん中にケーキの箱を置き、膝をついて待っていた。



「おばあちゃん、
 ナイフとお皿とフォーク。
 あっそれからライターある?」



「はい、あるよぉ」

よいしょっとおばあちゃんは立ち、ケーキと一緒に軽く食べる物を準備をしてくれた。



那抖は真ん中に置いたケーキの箱から、そっとケーキを出そうと箱の中を覗いた。
< 144 / 299 >

この作品をシェア

pagetop