折れない心
「あ――――――――!」


「なにぃ?」



「見なかったことにしてくれ」



「まだ、見てないし。
 あっもしかして!」



あたしは、那抖の持ってたケーキの箱の中を覗いて見た。



「あ――――――――!
 那抖ぅ―――――――――!」



「ごめーん!」



ケーキは、かなり箱にクリームがくっついて、見事に崩れてた。



「もう!
 だから言ったじゃーん!」



中のケーキをゆっくり出した。



「あーあ、ぶちゃいく」

那抖が膨れっ面をした。




「あらあら、まぁ」

おばあちゃんが、くしゃっと笑った。



「ったく那抖は、仕方ないなぁ。
 まぁ、食べれれば
 オッケーってことで♪」



あたし達は、ろうそくを沢山立てて火を灯し、電気を消した。



それから那抖と一緒に、おばあちゃんにジングルベルの歌を歌ってあげた。



「楽しい、クリスマス〜♪ヘーイ♪」と歌ったところで那抖が勢いよくフゥーッとろうそくを全部吹き消した。



「あー!那抖ー!ずるいー!」



「よし、切るぞ!」
真っ暗になった部屋の電気をパチッと点けた。



「ずるいー!あたしも
 ふぅーってしたかったぁ!」



「うっせぇなぁ、
 じゃあもう一回な♪」



もう一度始めから歌を歌い直し、「ヘーイ!」のところでまた一人で吹こうとした那抖の体を押さえつけて、おばあちゃんと一緒にふぅーっとした。
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