折れない心
「・・・紗茅、紗茅!」




「・・・え?」




「何ボォーッとしてんだ?」




「あ、ううん・・・」

あたしはバイトの帰りに那抖の部屋に寄っていた。



「元気ねぇなぁ。大丈夫かよ」




「うん。あのさ、那抖・・・」



あたしは、気になっていた雅人から聞いた話しの真相を聞こうと思った。




「那抖んちにバイクあるけど、
    なんで乗らないの?」



「あ?あぁ、なんとなく・・・」




「あたしも、乗りたいな」



「バイクにはもう乗らない」

那抖があたしから目を背けた。



「どうして?」




「ん〜あんま興味なくなった」




嘘だ――




おばあちゃんが、那抖はバイクが大好きで、毎日バイクを磨いてるって話してた。




元カノの話しをしたくないのはわかるけど・・・




乗れないんじゃなくて、きっと元カノ以外とはもう乗りたくないんだ。




「じゃあ、
 いつか乗せてくれる?」




「あ〜、いや、まーな・・・」



「何よ!その返事!
 話しだってばらばらだし!」




「だからっ!」

那抖が怖い顔をした。




「何怒ってんの?」




「怒ってねーよ!」

那抖がこんなにいらついたのは始めてだった。




「あっそう。さようなら」




「は?何言ってんだ?」




あたしは、那抖の部屋を出て行った。
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