折れない心
「ちゃんと話ししろ。
   話しして来い。
 それで駄目だったら
    戻って来い。
 ずっと待っててやるから・・・」




「雅人ぉ・・・うっうっ・・・」



「泣くなって・・・
 まったくおまえは・・・」




雅人はあたしを抱きしめて、そっとおでこにキスをした。




「こんぐらいいいだろ?ったく
 どんだけおひとよしだよ
        ・・・・・・俺は」




雅人とはずっと離れたくなかったし、嫌いでもなかった。




大好きな気持ちに、変わりはなかった。




でも雅人といても、何かが足りなくて、何かを忘れてきたような、心にぽっかり穴が開いてるような感じがずっとしてた。




「ごめっ、雅人っ・・・」




「謝るな。こうなるのは最初から
 わかってたことだ・・・
 ありがとな。楽しかったよ」




あたしは、雅人に抱き着きたいぐらいだった。




でも、

切なくて

苦しくて

悲しくて


とてもその場所には、いられなかった。




「ううっ・・・」

あたしは雅人から離れた。



雅人は追いかけて来なかった・・・



もう雅人に会うことはないんだと思うと、心が張り裂ける想いだった。




短い間の思い出が、頭の中を流れていった。
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