折れない心
「あぁ、今日も疲れたなぁ・・・」




那抖は、あたしのベッドにゴロンとなった。




「戦ったしね。」

あたしはその傍に座った。




「なぁ・・・
 おまえいつからあいつらに?
 今日が初めてじゃないだろ?」




「んっと〜、
 那抖と付き合いだしてすぐ
 だから去年の冬からかなぁ。」




「マジかよ!」

那抖がベッドから跳び起きた。




「そんな前から?
 なんで俺に言わなかった!」




「うーん。なんとなく・・・結局、
 那抖の耳に入っちゃったけど。
     那抖って強いねぇ。」




「あぁ、空手やってたからな♪
 それと父ちゃんと
  喧嘩ばっかしてたしな。」




那抖が、あたしの頭に軽く空手チョップを入れた。




あたしは頭をさすりながら、雅人達はあれからどうしただろうなと思った。




「あいつら、いい奴らだな・・・」




「あっ、うん・・・
 ほんとにいい人達だよ。」




「紗茅。俺、もう
 紗茅と離れたくない・・・」




那抖があたしに強く抱き着いた。




「うん、あたしも・・・」




あたしと那抖は、くっついたままベッドに横たわった。



しばらくしても那抖は動かなかった。




那抖の鼓動が聞こえる。




那抖の寝息も・・・




「ん・・・?」





那抖の体からそっと離れて顔を覗くと、寝息をたてて眠っていた。




前言撤回。




世の中のロマンティストさん達、ごめんなさい。




「那抖のばーか。」




半開きの唇が妙に愛しかった。




あたしは那抖に気付かれないように、そっと優しくKissをした。
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