折れない心
「じゃあ始めるわよっ!」



試合開始のホイッスルが鳴る。



――ピ―――ッ!



――バシッ!


こっちのチームのボールだ!



「はいっ、パス!パスッ!」



おどおどした唯一仲間の読書好きな女子が、あたしの方によろよろと歩きながら、よろよろのパスをした。



「後は任しといて!」



途中で退部したとは言え、素人には負けやしない。



あたしは、スルスルとガードをかわしていった。



――トントントンッバシッ!



「ナイシューッ♪」



「わぁ!吉岡さん、
   ナイシュー!」



見ている女子から、ざわめきがおこった。




「吉岡さん、カッコイイ!」


「元バスケ部なんだってよ」




「チッ!」

高槻が舌打ちをしながら、そう言った子達を睨んだ。




高槻も元バスケ部だけど、ドリブルはおばあちゃんが歩いて杖をついてるかのようだ。




「あんたは辞めて正解♪」

あたしは、高槻のボールを奪いながら言った。




「なっ、なっ・・・!」




――ダッダッダッ!

―――バシッ!



「ナイシュー!」



またもやこちらの得点追加!




しかし守りに入る時、油断して背を向けたのがバカだった。




「吉岡さん危ないっ!」




「え・・・・・・?」




――ガシッ!

  ――バタンッ




あたしの後頭部に、何かが直撃した。
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