折れない心
――キーンコーンカーンコーン♪




あたしは、何時限めの始まりか終わりかもわからない、チャイムの音で目が覚めた。




「いっ・・・つう・・・!」



後頭部がガンガンする。

死ぬほど痛い。



氷枕の冷たさが追い打ちをかけるかのように、痛みをかもしだしている。




た〜か〜つ〜きぃぃ!

間違いなくアイツだ!

もー、ぶっ殺してやるっ!




――『グスッグスッ・・・』


ん・・・?なに・・・・・・・・・?




白いカーテン越し、微かに何か聞こえる。




話し声に耳をすませた。



『ねぇ・・・どうして泣くの?
 先生は
 あなたのことが好きなのよ。
 さぁこっちへいらっしゃい・・・
 今日も見学って
 ことにしてあるから大丈夫』




保健室の・・・佐伯先生の・・・声・・・・・・・・・?




『やだっ・・・やだぁ!』




『ふふふ・・・
 やだじゃないでしょう?
 あんなことがバレたらお母様
 どんな顔するかしらねぇ。
 あなたがいけないのよ?
  ―――こんなかわいい・・・』




――シャ―――!!


あたしは、我慢出来ずに仕切られていた白いカーテンを開けた。




「何・・・・・・?何やってんのよ」



「えっ!
 あっ!具合が悪いって言うから
 見てたのよ!
  あっどうかしら?気分は?」




その子は、はだけたブラウスを直し慌てて隠した。



体は硬直し、ブルブルと震わせているのに気付いた。


「しらじらしいんだよーっ!」


――ガシッッッ!



「きゃあーっ!」


あたしの蹴りで、佐伯は座っていた椅子のまんまひっくり返った。




「ほらっ、行くよ!」



その女の子の手を取って、屋上まで全速力で走った。
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