折れない心
「でねぇ、エレベーターでこので
 かい図体がいきなりぶつかって
 きてね〜!ほっんとアメフト選
 手かっつーの!」



「アハハ、おかしいわぁ。
 紗茅にボーイフレンドなんて久
 しぶりね」



「え?そーなんすか?
 このやり手の顔っ・・・」




――バシッ!


「いったぁい!ぶったわね!」




「そのオネエ言葉
 やめなさいってば!」




「面白い子ねぇ、何歳なの?」




「18っす♪」




「そう、若い子はいいわねぇ。
 今から青春ね」




「ねぇ、ママまた髪の毛
    沢山抜けてるね」




ガムテープを使ってベッドに張り付いた髪の毛を取る。




「ごめんね。
 ほっといていいわよ」



「いいって、いいって」



病院に来る度に、テープに張り付く髪の毛は増える。



まるで猫の毛のようにパジャマにも張り付いている。



「ねぇ紗茅。
 もう少ししたら、ママかつらで
 も着けようかしら・・・」




「・・・・・・」




余命少ないことは、ママは知らない。




「安いのでいいんだけどねぇ」




「あ、うん・・・」




隣りに座っていたアニキが突然立ち上がった。
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