折れない心
「アニキ?どーした?」




「いや、俺なんか飲み物
 買って来るわ」


――カラカラカラ・・・

あたしの返事も聞かずに、ドアを開け出て行った。



「あっそうだ!ねぇママ、
 もう一人友達が出来たよ!
 名雪って言うの。
 めっちゃかわいいよ!
 今度連れて来るからね♪」




「そう、よかったわね。
  学校の方はどう?」



「あっうん、ちゃんと行っ
 てるから心配しないでよ」




「卒業したら、
 専門学校行くんでしょ?」



「ん〜わかんないけど・・・」




――カラカラカラ・・・

アニキは三本ジュースを手に持ち、戻って来た。


「どれがいいのかわかんなかった
 から適当に買って来た。
    体に良さそうなの・・・」




いまさっきより、赤い目をして戻ったアニキに気付かないフリをした。




「ありがとう!アニキ。
 ママ?飲める?リンゴ?
 オレンジ?野菜ジュース?」




「ママは欲しくないから
 紗茅が飲みなさい。
 野菜はちゃんと食べてる?」




「ママぁ〜、人のことより
 自分の心配しなさいって」




「だってママ、
 紗茅のこと心配で心配で・・・」




「大丈夫だってば。
 お昼も夜もお弁当食べてるから
 いい物食べすぎて、カロリーが
 気になるぐらいだし」




「そう、よかった。
  安心したわ・・・」
< 52 / 299 >

この作品をシェア

pagetop