折れない心
いつものバスは、いつものように満員だった。




「うぅ、窮屈ぅー!
 誰か降りればいいのにぃ!」

名雪が体でイヤイヤをした。




「むりむり、ほとんど同じ
 学校だってば」




やっと満員バスから解放されたあたし達は学校へと向かった。




「おはよー!」

――ガッ!

  「ツッ!」




「ハロハロ〜!」

――ガツッ!

    「いったぁーい!」




「何!?名雪もやられた?」




「いや、大丈夫だよぉ・・・」

痛そうな顔をして肩をさすっている。




「あっいつらー!」




ダッシュで高槻達を追いかけた。




「待ちなよ!待てってば!!」




「はぁ?なぁに?」





高槻達が何事もなかったかのように振り向く。




「あんた、いい加減にしなよ!」




「紗茅、いいってば!」
名雪が走って追いかけてきた。




「よくないよ!」




「わざとじゃないしぃ〜♪」
高槻が鼻で笑った。




あたしは、高槻のむなぐらを掴み思いっきりビンタした。



――バシッ!




「いったぁ!何すんのよ!」




「今度名雪に何かしたら
 ただじゃおかないからね!!」




ビビった高槻は後ずさりした。




「行こっ!名雪・・・」




「ヒューヒュー!」
男子達が囃し立てる。




「あんたらはハイエナ・・・」




面白がって囃し立てていた男子に一言そう言い、群がる生徒達を掻き分けて、あたしと名雪は校舎へ入って行った。
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