折れない心
「本当に助かったよぉ。
    ありがとねぇ♪」


「いいえ〜♪あぁ〜っもっと
 ゆっくりしてたいんだけど、
 バイトがあるから行くねっ?」




唇の両端に付いたチョコを拭いながら言った。




「あら、そうだったのかい?
 急いでるとこ引きとめて
     すまなかったねぇ」




「いえ、とんでもない。こちら
 こそご馳走になりました♪」



「車に気をつけなさいねぇ」



「はいっ、
 じゃあお邪魔しましたぁ♪」



おばあちゃんは、玄関を出て路地を出た所まで見送ってくれた。




「また
 いつでもいらっしゃいねぇ」



「は〜い♪
 また寄らせてもらいま〜す♪」



しばらく自転車を走らせて横断歩道の信号が赤になり停まった時に振り返ると、まだおばあちゃんが笑顔で見送ってくれていた。




「おばあちゃん・・・・・・
 優しいなぁ・・・・・・・・」


なんだか、ほんわり心が暖かくなった。



あたしはお婆ちゃんに、思いっきり大きく手を振った。



信号が青になると同時に、全速力で自転車を漕いだ。


「いっそげぇ〜!」



風でスカートがめくれても気にしない、気にしない。
全力疾走した。
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