折れない心
今日は那抖もう来ないみたいだなぁ・・・・・・

当たり前かぁ。
あんなことしたら・・・・・・




毎日何回も見てる顔を見ないと、なんだか無性に淋しくなった。



バイトの時間が終わり、沈んだ気持ちのまま着替えを済ませた。




「お疲れ様でしたぁ・・・・・・」



「お疲れ様!
 吉岡、元気出しなよ!」


「ふぁーい・・・・・・・
 お先に失礼します・・・・・・」


気合いの入らない返事をして病院へ向かった。




何故だか、自転車のペダルも重く感じる。




やっとのことで、病院の裏口に着いた。




「おじさん。こんばんはぁ・・・」




「こんばんは〜♪
 さっちゃん・・・・・・?」


守衛のおじさんの顔も、まともに見ずに挨拶し、エレベーターの前まで歩いた。



自己嫌悪とはこのことだ。

あたしは、どうしてあんなこと言ったんだろ・・・・・・




「はぁぁ・・・・・・」


いつもの深呼吸は忘れ、ため息をつきながらママの病室のドアを開けた。




――カラカラカラ・・・・・・




「紗茅?」



「ママ・・・起きてたんだ・・・・・・」




あたしは、丸い椅子を引き寄せ腰掛けた。




「お疲れ様。
 今日の学校はどうだった?」




「うん・・・・・・」

謹慎処分のことどうしよう・・・・・・


なんか説明するのめんどくさいや。




「いつもと変わんないよ」
そう、ぶっきらぼうに言った。




「そう?
 なんだか元気ないみたいね?
 那抖君はまた後から来るの?」




「・・・いや、来ないよ・・・・・・
 別に仲良しな訳でもないしね」




あたしはママに見抜かれたようで、少しイラついてしまった。
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