折れない心
しばらく話しをしてても、『うん』としか返事をしないあたしを見兼ねて、『疲れてる時は来なくていいんだから、早く帰りなさい』とママに言われ、よけいへこんだあたしは暗い気持ちで自転車に乗った。



「はぁぁぁぁ・・・」



今日はなんだか、そのまま真っ直ぐ帰りたくない気分だった。




家の近くの公園に寄り、自転車を停め、ブランコに座った。




ブランコを揺らすとキーコ、キーコと余計淋しさが増す錆びた音がした。




空を見上げると、まんまると光り輝く満月だった。




はぁぁ、なんか淋しいなぁ。




『天然名雪ちゃん』とも会ってないし、毎日がつまんない。




と言うか、頭の中は・・・・・・



「怒ってるだろうなぁ・・・」




パパが亡くなってから、ママが満月に話しかける癖があたしにもついていた。




満月になると喜んで、「あの月がパパなんだよ」って何故だか幸せそうに月を眺めてた。




今夜もきっとママはパパに話しかけてるだろう。




「ねぇ、パパ?惚れっぽいのは
    父親譲りなのかなぁ?」




『そうだよ』
って言ってる気がしてあたしは小さく笑った。




「さてと、帰ってゆっくり
      お風呂入ろっ!」




おもいっきりブランコから飛び降り、公園を後にした。
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