錯乱(好色一代女)

覚める時

夢を見ていた…。

母におぶされ、子守唄の響く背中がとても気持ち良い…。

星が空一面に散らばり今にも手が届きそうだった。

夢の中で眠り夢の中で目覚めると、母の姿がない。

暫くすると泣いている私を母が優しい笑顔で戻って来て抱きしめてくれた。

暖かかった…。

あの日に帰りたい。

何も知らなかったあの頃に…。

戦争のなかったあの頃に…。

自分の涙の冷たさで私は目が覚めた…。



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