錯乱(好色一代女)
私はいつものように学校で出来るだけ時間を潰し夕方家に帰った。
誰も居ない。

いつものこと…。

あの時のように淋しい気持ちなんてなかった。

〃このまま母さんなんて帰って来なければいいのに〃

私はこの1年で変わり果てた母をどうしても許せなかった。

ふとテーブルを見ると一冊の本がある。

『アベ・サダ?』

1935年…。

私の生まれた年だ。


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