錯乱(好色一代女)

降り立った町

私は目の覚めたその町に降りた。

戦争の痛手のないその町はどうやら温泉町のようだ。

賑やか過ぎず錆びれも見せずこじんまりした町並みだった。

私は一目でこの町を好きになっていた。

ここならきっと穏やかに暮らせる、きっと…
そう信じて一歩を踏み出したのだ。

右左と目をやるうちに貼り紙が飛び込んで来た

〃求人 面接コラレタシ。住込アリ〃

旅館の仲居の募集らしい。私は考えもせずに旅館へ入り働きたいと願い出た。



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