錯乱(好色一代女)
この時代の電話は電話交換手に局番を告げ更に繋がった先の交換手に番号を告げるというもので店舗や金持ち以外自宅に電話を置く家はほとんどなかった。

用事がある時はこうして借りに来るより仕方なかった。


勿論、何処へかけるのだろうと店主が耳をすましている。

別に構わない。

相手は若女将で女なのだから。やっと旅館に繋がった

『はい、変わりました』

懐かしい声に思いもよらない熱さが込み上げる…。


会いたい…。



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