錯乱(好色一代女)
栄太郎は明け方まで何度も、何度も私を抱いた。私は栄太郎が可愛くて愛しくてたまらなかった。


英生を裏切っている罪の意識などどこにもない。

今の私は英生の妻ではなく女…。

栄太郎の母ではなく女…。


眠りについた栄太郎の腕から離れ私は静かに部屋を出た。

外は明るくなりかけている。

台所で水を飲もうと歩き始めた時玄関が開き憔悴しきった英生が帰って来た

『…母さんが死んだよ…』

そう言って肩を落とした。



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