錯乱(好色一代女)
私は模範生で監守の評判も良かった。

3年で仮釈放、1年の執行猶予がついた。

高い壁から解放された時私は30歳になっていた…。

あの日川田を殺した日もこんな肌寒い日だった。

監守に見送られ、自由になった私の前に懐かしく、愛しい変わらぬ顔が待っていてくれた。

私の身元を引き受けてくれたのは、若女将だった…

『久しぶりだったね、元気そうで安心したよ』

そう言って私の手を温かく握りしめてくれた。



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