窓に影2
「いいから出かけるぞ。さっさと準備しろ」
「は? どこに」
「秘密」
話がよくわからないまま、準備に取りかかる。
階段を下りて顔を洗いに行くと、風呂を洗い終わった母と出くわした。
「やっと起きたのね。歩君待ってるんだから、早くしなさい」
約束をしていたわけじゃないのですが……。
とりあえず「はーい」と適当に受け流し、洗顔ネットを揉み込んだ。
女が出かける準備をするのには時間がかかる。
多くの男はそれを待つのにストレスを感じるらしい。
しかし歩は、そうでもないようだ。
「別に慌てる必要はねーよ。俺、マンガ読んどくから」
と、本棚から適当にマンガを選び、我が物のようにベッドに横たわった。