窓に影2

 わた兄の話は続く。

「したがって、俺が帰ってきている今、歩は実に不安定」

「いつもと変わらないけど」

「いや、違うはずだよ。いつ俺に恵里を取られるかってハラハラしてるはずだ」

 自信満々に言い切ったわた兄。

 そういえばわた兄が帰省していることも隠していたし、妙に不機嫌だった。

 ドライブを許可したのは虚勢?

 思い返せばわた兄の言う通りかもしれない。

 でも……

「そんな心配、必要ないのに。あたし、歩が好きだもん」

「必要なくても、体が勝手に思うんだよ。それがコンプレックス」

 そんな心配、取り除いてあげたい。

 どうしたらいいんだろう。

 何を言ってあげたらいいんだろう。

「だから、あいつの前で俺を思いっきり振れよ」

「は?」

「そしたらあいつは安心するし、俺もキッパリ諦められるだろ」

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