窓に影2
制服姿の歩の第一声。
「男の匂いがする」
思いっきり嫌な顔ををしていた。
男の匂いって、わた兄の匂いってこと?
「はぁ?」
別にバレて困るわけではないけど、そういう言われ方するとドキリとする。
「なんてね。兄貴が来てたんだろ」
くっ。
勝ち誇ったような顔がムカつく。
でも顔はすごく嫌そうな顔。
「そうよ。ちょっと前までいたの」
あっそ、と言いながらベッドにダイブする歩。
今回は何もされなかった? とは聞かないらしい。
もっと危機感を持てよ。
何かされたわけではないけれど。
「歩、わた兄のこと嫌いなの?」
「は?」
「だって、わた兄が帰ってきてからずっと怖い顔してるし」