窓に影2
歩は枕を抱きしめながら大きなあくびを一発かました。
「兄貴なんだから嫌いもクソもないだろ。でも、俺の中では一番の危険人物だな」
うそつけい!
とツッコミを入れたくなる間抜け面でそう言った歩。
わた兄の言うとおり、コンプレックスなんだろうか。
危機を感じているような顔はしていないけれど。
心配なんて、いらないよ。
という意味を込めて、私もベッドに乗り汗ばむ歩をぎゅっと抱きしめた。
気持ちがちゃんと伝わるように。
自身を持ってもらえるように。
「恵里、暑い」
「うるさい。我慢してよ」
……やっぱり余裕ぶっこいてるようにしか見えないけれど。