窓に影2
8・疑惑香る背中




 あっけない高校最後の夏休みが終わり、二学期がスタートした。

 我らが北高校では、ガングロ率が急激にアップする9月。

 日に焼けていない私を見たクラスメイトは、哀れみにも似た言葉をかけてくる。

 昨年までは誰より真っ黒になっていたこともあって、驚いているのだろう。

「恵里ちゃん、白くなった?」

 なってないです。

「白ギャル派だっけ?」

 別に、どっちでも。

「もしかして、彼氏と別れちゃったの?」

 別れてません。



 日に焼けていない。

 つまり、遊んでいないという方程式が成り立つ北高校。

 遊んでいない原因が彼氏と別れたからという安易な解にたどり着くあたりが北高クオリティだ。

 彼氏がずっと勉強してて遊びに行けないというパターンはインプットされていないのだ。

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