窓に影2

 私はこの日、歩の部屋でゴロゴロとゲームをやっていた。

 というより、脳トレ。

「ちょっとは頭使えよ、バカ女」

 という憎たらしい歩の指示により、DSを握らされていた。

 他にも英語や漢字のソフトなども用意されている。

 ゲームまで勉強。

 こいつ、アタマ腐ってんじゃないの?

 なんて思ってしまう。

 何をやっても歩の記録には勝てなくて、とことん自分の脳ミソは活動を渋っていると実感。

「ああ、また間違えた」

 悔しがる私を、歩は涼しい顔で笑いながらガリガリ勉強している。

 そんないつもの光景――のはずだったのに。

「ああ! もう、速すぎるよ!」

 ゲームに文句を突きつけ、ベッドからガバッと起き上がった、その時。

 ふわっと、微かに。

 でも、確かに。

 何かが香った。

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