窓に影2

 お言葉に甘えて自分のペースで準備を始める。

 ……と、その前に。

「着替えるから出ていって」

「は? 今更?」

 今更? じゃないよ。

 脱がされるのと着替えるのでは、多少違う。

 不満な顔をしながら一旦部屋を出た歩。

 できるだけ早く服を身に着けて、再度部屋に入れた。



 どこに出かけるかは知らないが、一応デートになるのだろうか。

 それならできるだけ可愛くしたいし、メイクにも髪のセットにも気合いが入る。

 いつもより多くマスカラを塗って、いつもより丁寧に髪を巻いた。

 髪を耳にかけてみると、左の軟骨部分に彼からもらったピンクのピアスがキラリ。

 そうして準備が整ったのは、目覚めてからちょうど一時間後。

 5時5分過ぎ。

 ベッドを見ると、歩は寝息を立てていた。


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