窓に影2
誰の?
どうやって付いたの?
次々と疑問が浮かぶ中、シャツを持ち上げた腕にパラッと何かがふりかかる。
くすぐったい。
なんて言っていられなくなった。
腕にふりかかってきたのは、黒くて長い髪の毛だったのだ。
私は茶髪で、どこを探してもこんな黒々とした髪は生えていない。
しかも、自然に抜けたものじゃないことが、根本を見てわかる。
わざわざ抜いて、貼り付けたんだ。
これは挑戦状?
歩を狙う誰かから、私に宛てた果たし状?
それとも歩本人がわざと……?
わかりやすい小細工。
隠すつもりなら、南高生なりにうまくやる。
一応その髪の毛を、自分のポケットに入れた。
キモいけど、帰るまでに風にも飛ばされなかった根性に免じて受け取ってやろうじゃない。