窓に影2
匂いはどうやら背中部分に付いているようだ。
他に付いてるところは……
「お前変態かよ」
ビクッ
シャツをクンクンしているところを、歩に見られてしまった。
「そういう趣味があったの? 知らなかった」
確かに変態呼ばわりされてもおかしくないが、生憎そういう趣味はない。
歩のにやけ顔がしゃくに障る。
「趣味じゃないし」
「じゃあどうして嗅いでんだよ。気持ち悪いな」
あんたの浮気調査よ!
とは言わない。
まだ疑惑だし。
ここで騒いだら相手の思うつぼな気がする。
かといって、気持ち悪いはムカつくな。
女の影をにおわせておいて。
「あたし、帰る」
「は?」
「いいから、もう帰る」
そう言って立ち上がると、歩が椅子を降りて抱きついてきた。