窓に影2

 思い出したのは、6月に西山家から出てきた南高の女子生徒だった。

 私は結局、あの女が歩の何なのか突き止めていない。

 急に怖くなった。

 不安が部屋いっぱいに広がった。

 とりあえず「事件の証拠品」をジップ付きのビニール袋に納め、引き出しにしまう。

 鼓動が速くて落ち着かないから、もう寝ることにしよう。

 明かりを消すと、ただ自分の鼓動だけがドクドクと耳に響いた。



 翌日、聡美のコメント。

「あんたはどこの刑事よ」

 ビニールに入った髪の毛を見せると、彼女はまず大笑いをした。

「笑わないでよ、悩んでるんだから」

「で、聞くのが怖くて持ち帰ったってわけ?」

「怖かったんじゃないもん。早とちりしたくなかったの」

 聡美は髪の毛を眺めながら呟いた。

「証拠があるのに早とちりも何もないじゃない」

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