窓に影2
その言葉に不安が増幅されて、ズーンと胸が重くなった。
「その場で西山に聞いてみれば良かったじゃない」
「だって……明らかに相手はわざとやってるし、疑ってるなんて歩に思われたくないんだもん」
呆れたようにため息をついた聡美はまた髪の毛を眺めた。
「恵里、いつからそんなに西山に遠慮するようになったのよ」
「え?」
「前は気に入らないことがあれば何でも口に出してたじゃない」
それは今でもそうだけど、こればかりは口に出せなかった。
言ってしまうともう何も信じられなくなって、何もかもを疑わなきゃいけない気がする。
だから、不安は消えないけど歩が今まで通りでいる限り私だって今まで通り接するんだ。
無理にでも信じよう。
それがきっと、二人のため。