窓に影2
歩が信用を失ってる隙にってことは、わた兄も気付いてるってことだ。
「わた兄には落とし込まれないもん」
「歩から女のにおいがしても?」
「……うん」
ぶり返さないでよ。
不安になるじゃない。
って、そういう作戦か。
「そんなに歩が好き?」
「うん」
ははっと笑ったわた兄は、いつもよりちょっと真剣な声で言った。
「南高、行くぞ」
「え……?」
車は進む。
少しだけ混雑している国道をまっすぐに。
南高に行って何をしようというのだろう。
卒業生のわた兄はいいとして、現役北高生の私は制服のまま進入する勇気なんてない。
「南高で何するの?」
「北高でしたのと同じこと」
「待ち伏せ?」
「そういうこと」
意図を掴めない私に、わた兄は細かく説明をしてくれた。