窓に影2

 歩を迎えに来たふりをして待ち伏せたわた兄は、歩を車に乗せる前に、昨日シャツから女物の香水が香っていたことを指摘。

 そこで歩の反応を見ながら真実を探り出す。

 そして私は後部座席に隠れながら、二人の会話を盗み聞きする……という作戦。

「どうせ一人で悩んでんだろ? 大事なことは全部一人で解決しようとする、昔から恵里の悪い癖だよ」

 わた兄の粋な(?)計らいらしい。

 一人で抱えるつもりだった問題は、彼が加わることで急に前に進み出した。

 歩の帰る時間までしばらくあるから、南高の近くの喫茶店で時間を潰す。

 9月に入り少しだけ日の入りが早くなって、歩が学校を出る時間には一番星が輝き出した。

 これなら後部座席に隠れてもすぐには見つからないだろう。

 車は南高の門の中に停められた。

「どんな答えが来るかわかんないけど、覚悟はできてる?」

「信じてるし」

< 119 / 232 >

この作品をシェア

pagetop