窓に影2
歩を迎えに来たふりをして待ち伏せたわた兄は、歩を車に乗せる前に、昨日シャツから女物の香水が香っていたことを指摘。
そこで歩の反応を見ながら真実を探り出す。
そして私は後部座席に隠れながら、二人の会話を盗み聞きする……という作戦。
「どうせ一人で悩んでんだろ? 大事なことは全部一人で解決しようとする、昔から恵里の悪い癖だよ」
わた兄の粋な(?)計らいらしい。
一人で抱えるつもりだった問題は、彼が加わることで急に前に進み出した。
歩の帰る時間までしばらくあるから、南高の近くの喫茶店で時間を潰す。
9月に入り少しだけ日の入りが早くなって、歩が学校を出る時間には一番星が輝き出した。
これなら後部座席に隠れてもすぐには見つからないだろう。
車は南高の門の中に停められた。
「どんな答えが来るかわかんないけど、覚悟はできてる?」
「信じてるし」