窓に影2
歩の寝顔は可愛いと思う。
憎たらしくもうらやましい濃いめのまつげ。
薄い唇はぴったり閉じられている。
スピー……スピー……
という寝息が何とも母性をくすぐられた。
「歩ー。準備できたよ」
体を揺らして声をかけると、まつげのカーテンがゆっくりと開いた。
「あー、うん」
のそのそと起き上がると、セットされてる髪が少し乱れていた。
それを手で直してやると、猫のように大きなあくびを一発。
「何時?」
「5時」
「マジか、意外に早かったな」
歩のために少しは急いだつもりだったが、彼ははじめから長く待つことを前提で来たらしい。
さすが秀才。
私の準備時間が多少長いのも計算済みってか。