窓に影2
両隣もパチンコ屋、広い道を挟んで向かいは酒のディスカウントショップ。
裏は一面田んぼ。
その奥はラブホ街らしい。
こんなところでしくしく泣いて、あたし超ダサくない? みたいな。
そんな冷め方。
「立ち直り早いじゃん」
「まあね。歩に泣かされるの慣れたのかも」
強がってそう言うと、わた兄はしめっぽくポツリ。
「昔は歩の方が恵里に泣かされてたのにな」
確かに、大人しくておまけに泣き虫だった歩は、じゃじゃ馬だった私にしょっちゅう泣かされていた。
十年も経てば、立場逆転かよ。
あの頃は歩にやられるなんて想像も付かなかったのに。
「恵里、これから歩とどうするつもり?」
「わかんないけど、浮気するなら今だよ」
田んぼの向こうに目配せをした。