窓に影2
「どうした?」
「歩、まだ帰ってないみたい」
心が再び凍り付く。
開き直って、あの女のところにでも行ったのだろうか。
何よ、バカ歩。
「あたし、今日歩の部屋に泊まる」
「は?」
「歩を待ち伏せして、話する」
私たちは来た道を少し戻り、西山家へと入った。
カナママたちはもう寝ているのか、家の中は真っ暗。
静かに階段を上がった。
「大丈夫か?」
「うん」
「一人で寝れるか? 一緒に寝てやろうか?」
「それじゃ意味がないでしょ」
「そりゃそうだ。おやすみ、恵里」
「おやすみ」
わた兄と別れて、歩の部屋に入る。
明かりをつけると、やっぱり歩は帰ってきていなかった。
あの女のところだろうか。
なんか悔しいな。
私が彼女のはずなのに。